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クライマー山野井泰史さんの命の思い
【vol.20】

メールマガジンアーカイブ

2010年の3月。その頃僕はいくつもの悩みにまみれ、またまたナメクジのように「人生なんて」ととろーんとした日々を過ごしていた。
昼下がりにさしかかろうとした時、神奈川の西でも電信柱が左右に振れるような強い揺れを感じた。
まさに命の危険だった。

けれど不思議なことにその瞬間、生きねば!という思いに包まれ、猛烈なエネルギーが身体中に沸いたことが今でも忘れられない。
人は命の危険にさらされると、きっと脳から何かアドレナリンのようなものが出るんじゃないか、そう思っている。
僕はクライマーの山野井泰史さんが大好き。世界を見渡しても指折りのクライマーなのである。
山野井さんの生活は、クマも出るような奥多摩に住み、極端に質素だが、いつも山に対しては命がけの思いを持っている。

「垂直の記憶」という山野井さんの今までの山行を収めた自著。
この中には山野井さんがどんな風に命の駆け引きをしたのか、どんな風に山に対する自分自身の思いと対話しているのか。
それが事細かに山野井さんの淡々としたタッチで描かれている。

特に山野井さんの代名詞となったギャチュンカンに夫婦で挑んだ(奥さんも世界的なクライマー)遭難劇からの生還劇は、一刻の猶予もなく体が蝕んでいく様子が描かれて、読んでいる方もゾクゾクが止まらない。
奥さんの妙子が死んでいるのかもわからずに、極寒の気温の中視力を奪われてもなお素手でクラックを探しながら壁面を降り、無事に二人で生還する。そしてその登山を振り返った一言は圧巻である。

「とてもいい登山だった」と言い放つ。

山野井さんは、その登山で、心の奥から山と向き合い、命と向き合えたんだろうな。
そう感じられた。
そのとききっと、地上では決して味わえないみなぎるエネルギーを感じられたのではないだろうか。
だから登山家は、それを味わいたくて命を投げ打ってでも山に登るのではないだろうか。
そう思えてならない。

平和で安全な日々の暮らしではその思いは決して味わえないのだろう。

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